直截の時間(募集中)

気ままに書きます。勉学(課題の超過)によって停滞する可能性あり、タイトルは募集中だし良いのがあれば変える。

デヴィッド・ボウイのレア曲/別ver一覧 1983-2014

3番目の記事は手短かに。ということで最後まで一気に書くことにした。

なお、『Is It Any Wonder? EP』と『The Next Day Extra EP』の収録曲はいずれも省いた。

 

bwe344.hatenablog.jp

 

bwe344.hatenablog.jp

 

 


1-Let's Dance (Demo)(1982?)

(from サブスク配信)

ボックスセットの『Loving the Alien (1983-1988)』リリースのタイミングで配信されたもの。


2-This Is Not America(Late 1984

(from『Loving the Alien (1983-1988)』)

映画『コードネームはファルコン』のサントラを担当したパット・メセニー・グループに合流して生まれた曲。この頃のボウイはアルバム以外の映画関連でヒットを出している。なお、映画『トレーニング・デイ』のサントラ収録曲の「American Dream」は、サンプリングではなくボウイ自身の新録ボーカルでこの曲のメインフレーズを引用している。他人のふんどしで何とやらではあるが、ボウイがヒップホップと直接的に関わった貴重な瞬間である。


3-Opening Titles Including Underground(Between April and
 June, 1985)
4-Magic Dance(Between April and June, 1985)
5-Chilly Down(Between April and June, 1985)
6-As The World Falls Down(Between April and June, 1985)
7-Within You(Between April and June, 1985)
8-Underground(Between April and June, 1985)

(from『Loving the Alien (1983-1988)』)

これらは全てボウイ主演映画『ラビリンス』の挿入曲であり、ボウイ自らが制作を務めている。同時期の迷走したオリジナルアルバムの出来を大きく上回るとは言わないが、迷いなく80年代のエンタメ産業に従事した作風になっているのは潔い。


9-Dancing In the Street(June, 1985)

(from『Loving the Alien (1983-1988)』)

低迷していたこともあり、かの「ライブ・エイド」においてボウイは果たした役割は少ないが、その中でも話題を振りまいたのがミック・ジャガーとのコラボレーションとなった本曲。オリジナル曲ではないものの、2人で世界中の地名を言い合う掛け合いは息ぴったりである。


10-Absolute Beginners(June, 1985)
11-That's Motivation(June, 1985)
12-Volare(June, 1985)

(from『Loving the Alien (1983-1988)』)

ボウイも出演していた映画『ビギナーズ』の主題歌と挿入曲。表題曲は後年もライブで披露されるなど、ファンにはおなじみ。「Volare」は聞けば分かるイタリアのスタンダードナンバー。90年代以降のボウイのトレードマークであるソフトな歌声をこの頃から用いだしていたことが分かる。


13-When the Wind Blows(1986)

(from『Loving the Alien (1983-1988)』)

核戦争の恐怖を描いたアニメ映画『風が吹くとき』の主題歌。サントラはピンク・フロイドロジャー・ウォーターズが主に担当しているなどひたすら豪華。この曲のフレーズが、先日エリザベス女王もコロナに際して口にした「We Will Meet Again」というWWII時のヒット曲を参考にしているという風の噂(Twitter)を聞いた。


14-Day-In Day-Out (Spanish Version)(1986)

(from 『Day-In Day-Out EP』)

表題曲のスペイン語バージョン。営業回りのための名刺アレンジで、「"Heroes"」のドイツ語版のような風刺性は感じられない。

 

15-Julie(1986)
16-Too Dizzy(1986)
17-Girls (Extended Edit) (1986)

(from『Loving the Alien (1983-1988)』※16以外)

それぞれアルバム『Never Let Me Down』のB面曲、元収録曲、部分的収録曲。

「Girls」はアルバムの日本盤に日本語バージョンで収録されている。「Too Dizzy」は何の説明もなく後年に削除され、共作者であったエルダル・キュズュルチャイが激怒したという顛末は、クロスビートの『デヴィッド・ボウイ 1983-1988』に詳しい。


18-Look Back In Anger (New Version Recorded 1988)

(from 『Lodger』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

商業路線を迷走するボウイを窮地から救い出したギタリスト、リーヴス・ガブレルズとの初仕事がこれ。後に発揮されるリーヴスのギタープレイの暴走ぶりを知っているとまだ様子窺いといったレベルだが、ここにボウイが希望を見出したのだと考えると感慨深い。

 

19-Real Cool World(1992)

(from 『Real Cool World』)

ジョルジオ・モロダーとの二度目のコラボレーション。映画『クール・ワールド』の主題歌で相変わらずの「迷走期はタイアップを聞け」ジンクスから逃れていないのだが、前年にはストレートなハードロックバンド、ティン・マシーンの「一員」として活動していただけに、この転身ぶりは笑ってしまうしかない。


20-Lucy Can't Dance(Summer, 1992)

(from 『Black Tie White Noise: Extras』)

アルバム『Black Tie White Noise』のセッション時に生まれた曲で、ナイル・ロジャースはヒットを確信してシングルカットするようにせっついたが、ボウイの頑なな態度のせいでアルバムに収録することすら叶わなかったという珍曲。『Let's Dance』で音楽業界に散々振り回されたという苦い過去がボウイの勇み足を防いだのだろうが、そもそもこの曲にそこまでの力強さはあるのだろうか。


21-Don't Let Me Down and Down (Jangan Susahkan Hatiku)(Indonesian Vocal Version)(Summer?, 1992)

インドネシア語版。昨今のワールドツアー情勢的にはインドの言語も射程に入りそうな節操ない営業っぷりである。


22-Get Real(1994)
23-Nothing to Be Desired(1994)
24-I Am With Name(1994)

(from 『1. Outside (Expanded Edition)』)

いずれも『1. Outside』のアウトテイク集。「Get Real」は陽気なところが没だったのだろうと分かる。残り2曲は以前の記事でふれた『The Leon Suites』の抜粋である。


25-The Hearts Filthy Lesson (Trent Reznor Alternative Mix)(1995?)

(from 『1. Outside (Expanded Edition)』)

泣く子も黙るトレント・レズナーとの接点はこの時が最初。


26-Hallo Spaceboy (Pet Shop Boys Remix)(1995?)

(from 『Nothing Has Changed』)

ペット・ショップ・ボーイズの手にかかると「Space Oddity」の再来である。


27-Seven Years in Tibet (Mandarin Version)(1996?)

(from 『Earthling (Expanded Edition)』)

チベット情勢に触れた元から体制批判であった本曲を中国の言語で歌うのは博打であった上に、香港ではチャート首位入りを果たしているが、その後無事に香港でライブを行っている。直接的な政治メッセージを出さないボウイとしては珍しい側面が見れる一片である。


28-"Heroes" (Remixed by Aphex Twin)(1997)

(from 『26 Mixes for Cash』、サブスク配信なし)

実際にはフィリップ・グラスの『Heroes Symphony』を素材としたリミックス。


29-I'm Afraid of Americans (V1)(1997?)
30-I'm Afraid of Americans (V2)(1997?)
31-I'm Afraid of Americans (V3)(1997?)
32-I'm Afraid of Americans (V4)(1997?)
33-I'm Afraid of Americans (V5)(1997?)
34-I'm Afraid of Americans (V6)(1997?)

(from 『I'm Afrad of Americans』、サブスク配信なし ※29は『Earthling (Expanded Edition)』に収録)

もはやアルバムと言っていい尺のシングルとして発売された6つのバージョン違いのリミックスは、全てトレント・レズナーによるもので、V1はPVやベスト盤などにおいて、オリジナルのバージョンよりも優遇されている。

 

35-Planet Of Dreams(1997?)

(from 『Long Live Tibet』、サブスク配信なし)

チャリティーアルバム『Long Live Tibet』への提供曲。この時点で2000年代以降のエレクトロからロックへの回帰を思わせる作風なのは聞き逃せない。


36-Tryin' To Get To Heaven(1998)

(サブスク配信なし)

本来はアースリングツアーのCDの特典となるはずであったボブ・ディランのカバー。スペインのラジオ局のリークによって世に流れたが、公式から正式にリリースされることはなかった。一聴の価値はあり。


37-A Foggy Day (In London Town)(1998)

(from 『Red Hot + Rhapsody』、サブスク配信なし)

ガーシュインのスタンダードナンバーをコンピレーションでカバー。力強く歌ったテイクの後、もっと優しく歌うように指示されてできたのが正式テイク。ボウイは何よりもボーカリストとして優秀であるのだということを気づかせてくれる名演。


38-Fun (Dillinja Mix)(1998?)

(シングルでサブスク配信)

先日シングルとして単体で配信された他、レア音源集『Is It Any Wonder? EP』のフィジカル盤の収録曲としてもフィーチャーされた音源。バキバキのジャングルを基盤にラフにジャムった曲という感じで、ファンクラブで限定配信されていたのも分かる「おまけ」。


39-1917(1999)
40-Wa Shall Go to Town(1999)
41-We All Go Through(1999)
42-No One Cells(1999)

(from 『'Hours...' (Expanded Edition)』)

いずれもアルバムから外された楽曲で、おそらくはボウイとリーヴスが全面参加したゲーム『Omikron: The Nomad Soul』のサントラ曲。より実験的な39と42に対して40と41は『'Hours...'』の侘び寂び路線を引き継いだもので、隠れた名曲である。


43-Seven (Demo)(1999)
44-Seven (Beck Mix #1)(1999?)
45-Seven (Beck Mix #2)(1999?)

(from 『'Hours...' (Expanded Edition)』)

 先述のアルバム未収録曲の他、元がアコースティックなだけあってデモも等しく美しい43に、あのBeckが一枚噛んだリミックス集と、おまけまで盛り沢山の『'Hours...'』を再評価する機運が来て欲しい。


46-Pictures Of Lily(October, 2000)

(from 『Substitute: The Songs Of The Who』、サブスク配信なし)

言わずと知れたザ・フーのカバー。幻のアルバム『Toy』のセッションの一環でレコーディングされたこともあって、テンポは原曲より遅く、コードの美しさを強調したアレンジになっている。

 

47-Nature Boy(2001)
48-Nature Boy (with Massive Attack)(February, 2001)

(from 『ムーラン・ルージュ』)

収録アルバムの通り、映画『ムーラン・ルージュ』での参加曲。そしてマッシヴ・アタックとのコラボも果たしている。


49-Slip Away(2001)
50-Slow Burn(2001)
51-I've Been Waiting For You(2001)
52-5.15 The Angels Have Gone(2001)
53-Safe(2001)

(from SACD版『Heathen』、サブスク配信なし)

プレミア化しているSACDの『Heathen』の隠れた目玉は、一部の曲が一般に出回っている『Heathen』 よりも尺が長い(あるいは短い)ところと、シングルのB面曲「Safe」のフルレングスでの収録であろう。ここでは一般的なバージョンより尺が長いものだけ取り上げた。ネットに上がっている50と53以外はまだ未聴です。

 

54-Wooden Jackson(2002)

(from 『Heathen』、サブスク配信なし)

55-A Better Future (Remix by Air)(2002)

(from 『Heathen』)

『Heathen』は様々なバージョン毎に異なるボーナストラックが入っているため、未だに把握し切れていないが、この2つは抑えておきたい。

 

56-Waterloo Sunset(2003)
57-Fly(2003)
58-Queen of All the Tarts (Overture)(2003)
59-Rebel Rebel (Re-Recorded Version)(2003)
60-Love Missile F1 Eleven(2003)
61-Rebel Never Gets Old (Radio Mix)(2003)

(from 『Reality (Expanded Edition)』、57-59はサブスク配信あり、他はなし)

いずれも『Reality』のボーナスであり、量的にもこの時期のボウイの充足ぶりを示唆している。キンクスの名カバーである56に、70年代と80年代の右腕であったカルロス・アロマーを迎え入れた57、そしてまさかのマッシュアップをシングルにしてしまった61と目白押しである。

 

62-Bring Me The Disco King(Remix)(2003)

(from『Underworld: Music From the Motion Picture』、サブスク配信なし)

ジョン・フルシアンテにメイナード・ジェームズ・キーナンをフィーチャーした最強の布陣で、リミックスというよりはオケの録り直しバージョン。ジャズアレンジの原曲とダイナミックなインダストリルサウンドのこのバージョンとは甲乙付け難い。


63-(She Can) Do That(2005)

(from 『Stealth-Music from the Motion Picture』)

映画『ステルス』への提供曲。緊急手術からのリハビリとしての少しずつの前線復帰の流れと思いきや、この曲を最後に創作活動から離れて数年間の沈黙に入ってしまっていたため、随分と半端なキャリアの幕切れになるところであった。


64-'Tis a Pity She Was a Whore(2014)
65-Sue (Or In a Season of Crime)(2014)

(from 『Sue (Or In a Season of Crime)』)

両方とも遺作『Blackstar』に入っている曲だが、それより前にシングルとして発表されており、前者はよりプリミティブな構成、後者は『Blackstar』の布陣を得るきっかけとなったビックバンドの指揮者マリア・シュナイダーとのコラボレーションによる演奏で、ほぼデモ段階でのリラックスしたボウイと極度に作り込んだハレの場のボウイの両側面が見れるアレンジで興味深い。

 

 

 

以上で、未収録曲のリストは終わりである。

全ての公式リミックスを含んでいるわけでもなく、最近になって90年代のレア音源の発掘も進んでいる最中であるので、このリストが覆る何かが見つかる可能性もないわけではない。むしろ、サプライズを期待したいところである。