直截の時間(募集中)

気ままに書きます。勉学(課題の超過)によって停滞する可能性あり、タイトルは募集中だし良いのがあれば変える。

デヴィッド・ボウイのレア曲/別ver一覧 1971-1982

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大分と日が空いてしまったが、前回の記事を作ってからほどなく最後まで曲目リストは作成していたため、それに従って書いていくこととする。

 

 

1-Quicksand (Demo)(Unknown, 1971)

(from 『Hunky Dory』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

文字通り名曲のデモバージョン。本テイクより声の線が細い分、諸行無常な楽曲世界の雰囲気が出ている。


2-All The Madman (Live In Hollywood/Studio)(February, 14th, 1971)

(from 『Five Years 1969-1973』のRe:Call 1に収録された「All The Madman (Edit)」)

イントロがライブテイクで後半はアルバム収録テイクという変則的な編集。

 

3-Ziggy Stardust (demo)(February, 1971)

(from 『Ziggy Stardust』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

ギター一本でも名曲であることが分かる良テイク。

 

4-Moonage Daydream (Arnold Corns ver.)(February, 25th, 1971)
5-Hang On To Yourself (Arnold Corns ver.)(February, 25th, 1971)

(from 『Five Years 1969-1973』)

当時交流のあったゲイ界隈の有名人フレディ・バレッティ(後にジギーの服飾担当に)を名目上のボーカルに立てた覆面バンド、アーノルド・コーンズ(バンド名はシド期のピンク・フロイドの名曲「Arnold Layne」から)で出された、ジギー期を彩る名曲のプロトタイプ。

2曲ともアレンジがとにかく野暮ったいが、「ジギー・スターダスト」というスターがぽっと出のカリスマではなく、よく練られた産物であったということが窺える。

 

6-Lady Stardust (Demo)(March, 9-10th, 1971)

(from 『Ziggy Stardust』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

ピアノに合わせた初期テイク。よりプリミティブなアレンジだが、バンドサウンドの先述の2曲よりグッと出来がいい。

 

7-Lightening Frightening(April, 23th, 1971)

(from 『Five Years 1969-1973』)

ジギー直前期の未発表曲。やはり本曲も野暮ったいのだが、この曲をリアレンジしてもその色は抜けなかったであろう。


8-Man In The Middle(June, 17th, 1971)
9-Looking For A Friend(June, 17th, 1971)

(CD音源化されず)

どちらもアーノルド・コーンズの曲。前者はフレディがボーカル、後者はボウイ。「Man In The Middle」はスリリングな疾走感に満ちた佳作で、「Looking For A Friend」は芋っぽい点が愛嬌になっている。特に前者はうまくいけばジギーの持ち曲にできたかもしれない、つくづく勿体ない無名曲である。

 

10-Bombers(Between June and August, 1971)

(from 『Hunky Dory』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

シンプルなロックナンバー。悪くはないが、ストレート過ぎたのが玉に瑕か。 とはいえ、これも「Man In The Middle」並の将来性はあった。

 

11-Holy Holy (Spiders ver.)(Late Summer, 1971)

(from 『Five Years 1969-1973』)

前回の記事の最後に載せた曲のスパイダーズによる再録。それでもやはり補欠としてベンチを温めるだけに甘んじてしまった、当時のボウイの作曲水準の高さには舌を巻く。


12-Amsterdam(Summer, 1971)

(from 『Five Years 1969-1973』)

ジギー期や90年代後半にライブで取り上げていた「My Death」と同じ、スコット・ウォーカーのカバーであるが、更には両曲ともジャック・ブレルというシャンソン歌手の筆によるも楽曲であり、ボウイはジギーとしてのツアーの合間を縫ってブレルに面会している。

鼻にかかった高めのジギーのボーカルとは異なり、バリトンボイスを活かす必要があったスコット・ウォーカーの世界観は、後のボウイの声を一足先に形作っていた。


13-Round and Round(Late 1971)

(from 『Five Years 1969-1973』)

本当はこれが『Ziggy Stardust』の題名になるはずであった、チャック・ベリーのカバー。悪くはないが、レーベルの要請で土壇場で仕上げた「Starman」にアルバム収録曲の座を譲ったのは正しい判断であった。


14-Velvet Goldmine(November, 11th, 1971)

(from 『Five Years 1969-1973』)

映画のタイトルにもなったことで有名だが、シングルのB面曲でボウイ側の扱いは大したことはない。大したことのある名曲なのだが。


15-Sweet Head(November, 11th, 1971)

(from 『Ziggy Stardust』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

全くの未発表曲であったのが90年代に解禁され、クオリティの高さに唖然としたファン多数。とはいえ、この曲に限らず、この時期はどの曲もシングルに出来るような代物だったが。


16-The Superman (Spiders ver.)(November, 11th, 1971)

(from 『Hunky Dory』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

17-John, I'm Only Dancing(June, 26th, 1972)

(from 『Five Years 1969-1973』)

ジギー期にシングルとしてカットされたブギウギナンバー。T-Rexに1番路線が近い曲。


18-All The Young Dudes (Mono Mix)(December, 1972)

(from 『The Best of David Bowie 1969/1974』)

19-All The Young Dudes (Stereo Mix)(December, 1972)

(from 『Nothing Has Changed』)
Aladdin Saneの30th Anniversery Editionの発売に際して、最終バージョン(Stereo Mix)の音源確保が間に合わず、それより前のテイク(Mono Mix)を収録するようになってしまったという逸話が下記の記事に書かれているが、アレンジ面での出来の差や以降のベストアルバムではStereo Mixの方が正規として収録されるようになったことから、その話の信憑性は高いものと考えられる。

 

blog.livedoor.jp



20-John, I'm Only Dancing (Sax Version)(January, 20th, 1973)

(from 『Five Years 1969-1973』)

Sax Versionとあるが、元からアレンジこそほぼそのままだが、追加のサックスだけでなくバック全体が新録であるというややこしい音源。そういうこともあって、ボウイが実際には関わっていないようなコンピレーションでは両者を取り違えていることもある。


21-1984/Dodo(October, 1973)

(from 『Sound and Vision』)

22-Dodo(October, 1973)

(from 『Diamond Dogs』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

メドレー形式の前者と単独の後者と、いずれにしても女性シンガーのルルとのデュエットであったが、ルルのパートだけ削除されている。

 

23-Growin' Up(November, 1973)

(from 『Pin Ups』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

最初期の、あるいは正式音源としては初かもしれない、ボスことブルース・スプリングスティーンのカバー。本来は『Pin Ups』の収録候補して上がっていたが結局収録されず...という話があるが、この曲の録音時期は『Diamond Dogs』の制作期間であるため、実際に収録するまではいかなかったということなのか。


24-Alternative Candidate(January, 1st, 1974)

(from 『Diamond Dogs』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

「Candidate」という『Diamond Dogs』の収録曲のバージョン違いではなく、全くの別曲。


25-Who Can I Be Now?(August, 1974)
26-It's Gonna Be Me (Without Strings)(August, 1974)
27-John, I'm Only Dancing (Again)(August, 1974)
28-Can You Hear Me (Alternative Gouster Version)(August, 1974)

(from 『Who Can I Be Now? (1974-1976)』)

前回の記事にも書いたが、『Young Americans』のプロトタイプであった『The Gouster』に収録されていた未収録曲とバージョン違い。既に紹介済みなので詳細は省く。

 

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29-After Today(August, 1974)

(from 『Sound and Vision』)

同じく『Young Americans』セッションからの未発表曲。このレベルの楽曲を一ヶ月ほどのセッションで次々と仕上げては捨てていったことからも、当時のボウイが薬に依存してしまった気持ちは何となく理解できてしまう。


30-It's Hard To Be a Saint In the City(1974-1975?)

(from 『Sound and Vision』)

再びボスのカバー。偉大なる先輩によるカバーの噂を聞きつけてボス自身もスタジオに表敬訪問を敢行したとのことだが、タイミングがうまく合わずにコラボレーションなどには至らなかったとか何とか。


31-Some Are(September, 1976, Maybe)

(from 『Low』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

32-All Saints(September, 1976, Maybe)

(from 『All Saints』)

共に『Low』の収録漏れの座に甘んじたアンビエント曲。ちなみにコンピレーションの『All Saints』は、元々ボウイが知人に回していたインスト主体のプレイベートアルバムを商業ベースに持ってきたもの。


33-Abdulmajid(Between "Heroes" Session, 1977)

(from 『All Saints』)

こちらは『"Heroes"』セッションからのテイク。曲名が70年代には知り合っていなかった2人目の妻であったり、一部の音がおよそ70年代的の音ではなかったりするのは、90年代に現代音楽家フィリップ・グラスがボウイの楽曲を基にシンフォニーを作るとなった際に、ボウイ側が70年代当時の音に手を加えて彼に提供した音源であるから、らしい。


34-"Heroes" / "Helden" (German Album Version) (During "Heroes" Session, 1977)
35-"Heroes" / "Héros" (French Album Version) (During "Heroes" Session, 1977)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

前者は最近だと映画『ジョジョ・ラビット』でも使われて有名だが、ボウイ自ら出演した『クリスチーネ・F』の陰鬱な冷戦時のベルリンの風景とのオーバーラップが印象的。そして実はフランス語でも歌っていた。


36-Peace On Earth / Little Drummer Boy(September, 11th, 1977)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

大御所も大御所であるビング・クロスビーとのデュエットは、実は彼の大ファンであるボウイの母親の命令であったという暴露がされている。この直後にクロスビーは急逝したため、これが最期の記録となる。


37-Alabama Song(July, 2nd, 1978)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

三文オペラ』などで知られるドイツの作曲家クルト・ヴァイルのカバーで、多くのロックミュージシャンが彼にリスペクトを示しているように、ボウイもまた彼のファンの1人であった。不穏な歌詞と猟奇的なメロディーに対する軽妙なオケの掛け合いが印象的。


38-I Pray Olé(Unknown, 1979)

(from 『Lodger』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

これは『Lodger』期の没曲。曲として充分に成立しており、このクオリティの楽曲が各時期どれだけあったのかが気になる。尤も、いつか新作に収録を、と隠していた可能性もあるが。


39-Space Oddity (Re-Recorded Version)(Late 1979)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

40-Panic In Detroit (Re-Recorded Version)(Late 1979)

(from 『Scary Monsters』(Ryko盤のボーナストラック)、サブスク配信なし)

 ツアーのなかったこの数年間において、数少ない露出の場であったテレビ出演に向け、アレンジを施してわざわざスタジオ録音を行ったテイク。


41-Crystal Japan(February - April, 1980)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

リアルタイムで70年代からボウイを追いかけていた人なら感慨深い、宝酒造の焼酎『純』収録のために来日し、長期滞在の上に新曲まで置き土産にしていった時期の、そのタイアップ曲。インストであり、彼の日本に対する憧憬が直接的に出ている最もたる例。


42-Cat People (Putting Out Fire) (Giorgio Moroder ver.)(July, 1981)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

スイスの別荘で休暇中に突発的に発生した、ディスコの帝王とのコラボレーション。『Let's Dance』ではアルバム全体に合わせたアレンジで再録音されているため、モルダーに共作者以上の存在感はないが、こちらのバージョンはモルダーの色がよく出ている。

『Lodger』の編集作業や『Let's Dance』の録音もスイスで行われているため、ベルリン三部作なる言説が可能なら、ツアーを行っていないこの数年間を指して、「スイス・バケーション期」なるタームも提唱して良いのではなかろうか。


43-Under Pressure(July, 1981)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

そんな「バケーション期」説を裏付けるように、ボウイはモルダーとのコラボレーションと同じ月にクイーンともセッションを行っている。この曲以外にも数曲はセッションをしたとクイーンのメンバーが明言しているが、「Cat People」のコーラスは気に入らずに削除を要請し、本曲もボウイはお蔵入りにしようとしていたが、既にレコードがプレスされていたため要望は叶わなかったなどと何かと曰く付きの邂逅である。しかしながら度重なるクイーン旋風によって、本曲がボウイの代表曲となってしまったのは何とも皮肉である。


44-Baal’s Hymn(Sepetember, 1981)
45-Remembering Marie A.(Sepetember, 1981)
46-Ballad Of The Adventurers(Sepetember, 1981)
47-The Drowned Girl(Sepetember, 1981)
48-The Dirty Song(Sepetember, 1981)

(from 『A New Career in a New Town(1977-1982)』)

先述のクルト・ヴァイルとも関係するベルトリト・ブレヒトの戯曲『Baal』を、テレビドラマでボウイが主演することとなり、当然楽曲も自ら歌った際のEPの収録曲群。自分は演劇などは全く知らない人間だが、およそロックらしい作法から離れたボウイの歌唱は、ロックスターが他の分野に安直に手を出した時のあの居心地の悪さを感じさせない。

 

 

 

ボウイの文献を読み耽ってから時間が開き、記憶を絞り出しながらの駆け足の紹介となってしまったため、いずれ加筆修正もしたいが、とにかく紹介することに意義があるであろう。次からは迷走の80年代なので気が進まないが早いところに済ませたい。