直截の時間(募集中)

気ままに書きます。勉学(課題の超過)によって停滞する可能性あり、タイトルは募集中だし良いのがあれば変える。

2023/09/28

彼女に一方的なコミュニケーションに摩耗したと拒絶され、反省を込めて私が一番愛する漫画作品『湯神くんには友達がいない』を読み直した。ラノベのようなタイトルやドタバタコメディの作風とは裏腹に、硬派な人間関係に関する物語である。

過去のことに脳を使いたくないから友人はいらない、とラノベの主人公が言えばただの強がりかもしれないが、湯神くんは違う。本当に必要としていない。マイルールが一番正しいとして突っ走り、人様に散々不快を与えながらも、借りは絶対に返す、利害が一致したら人助けも別に苦としない。そんなやり方をしているので、友達がいなくても周囲と衝突しても特に困らず日々を過ごす。私は湯神くんに憧れを抱く。

しかも効率厨かと思えば趣味にこだわり、「意味がないからこそいいんだよ。趣味はね!」、「無意味な事に金と時間と気力を使って消耗する… それが趣味の醍醐味だ!!」(ともに第9巻収録、第44話「湯神くんの三学期」より)と、中々良いことを言う。

自分の好きを知って自己完結的に英気を養うという点では、しんどいときは人との交流を断ってお酒とお風呂で回復させる彼女に重ね合わせてしまうところもある。マイルールへのこだわりと自己完結性、押しの強さという点では自分はより湯神くんだ。だからこそ彼女は疲弊したのだろう。

だが、湯神くんは実は主人公ではない。引っ越しばかりで他の人に合わせる能力はついても友人関係を築くことができない綿貫ちひろが真の主役である。

自分のやりたいことより周りから浮かないことが優先。人をご飯に誘えない。理不尽な目にあっても対抗できない。これこそまさに私と彼女だと思う。

人をステレオタイプや既存の概念に押し込めて分かったつもりになるのは良くないが、湯神くんと綿貫さんという水と油のような二者の双方に自分たちを見出すのは悪くはない自省行為だと思う。まあ、彼女からしたらこの時点で結構不快に思われてる気もするのだが…

作品はラブコメでもなく、改心物語でもなく、基本的な性格は両者とも変わらないまま僅かな変化を描きつつ進む。最終巻でどうなるかは内緒だが、少年漫画でこの終わらせ方はスゴいと思う。現実世界でも劇的な性格の変化はほとんどないが、お互いが少し歩み寄るだけで明らかに何かが変わるということは珍しくないだろう(多分)。

私もまた彼女が戻ってきてくれたらしっかり向き合っていくし、自分だけがすべて妥協して我慢するみたいなやり方にはならないようにしよう。

 

しかし、綿貫さん、かわいいけど性格とデフォルメされた表情の多さでそこまでヒロインぽさがでてなかったように思うが、改めて読み直すとかわいいし、扉絵でも恥じらうことなく堂々とかわいいポーズしてるし、作者的にも本来はオドオドするような性格ではないということなんだろうな。段々彼女と綿貫さんが同一人物的に認識されてきたのでそろそろ離れます…